ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

前層の層化~Hartshorneの定義に従って~

みなさんこんにちは.
みなさんは備忘録ブログに助けられたことはありますか.備忘録として記しておきます.と書かれた有能ブログの数々には僕も助けられてきました. 過去に自分が困った内容で調べてもなかなか出てこなかった事実がこれだったのでこれを共有します.意味が分かると当たり前なので意味をつかんでもらえるといいと思います.

前層の層化

\mathcal{F}を前層とする.この前層\mathcal{F}に対し,次のような性質(※)を持つ層\mathcal{F}^{+}および射\theta :\mathcal{F} \to \mathcal{F}^{+}が存在する.
(※)任意の層\mathcal{G}および任意の射\phi : \mathcal{F} \to \mathcal{G}に対して,\phi = \psi \circ \thetaであるような射\psi : \mathcal{F}^{+} \to \mathcal{G}が一意に存在する.

これの証明はHartshorneにはちゃんと書かれていないのが最初苦しかった記憶があります.ということで示していきます.
任意の開集合Uに対し、\mathcal{F}^{+}を以下のように定義する.
\mathcal{F}^{+} := \{ s: U \to \bigcup _{P \in U} \mathcal{F}_{P} |     以下の※の条件をみたす        \}
※の条件とは以下のよう
(i)各点P \in Uに対して,s(P) \in \mathcal{F}_{P}
(ii)各点P \in Uに対して,Uに含まれるPの近傍V\mathcal{F} (V)の元tがあり,すべてのQ \in Vに対して,tQにおける芽t_Qs(Q)に等しい.

つまり,\mathcal{F}^{+}\bigcup _{P \in U} \mathcal{F}_Pに値を取るU上の関数の集まりです.

\mathcal{F}^{+}が前層になることは,制限写像を関数の値域が \bigcup _{P \in U} \mathcal{F}_{P}から \bigcup _{P \in V} \mathcal{F}_{P} に代わることで自然にわかる.
それでは,層の条件を確かめていきます.
(1)任意に開集合Uを取る.U = \bigcup_{i} V_{i} とする.s \in \mathcal{F}^{+} (U)が任意の is|_{V_{i}} = 0であるとする.
任意にp \in Uを取る.この時p \in V_{i} \subset Us|_{V_{i}} = 0であり,U = \bigcup_{i} V_{i} よりs=0がわかる.
(2)U = \bigcup_{i} V_{i} とする. s_{i} \in \mathcal{F}^{+}(V_{i}) , s_{j} \in \mathcal{F}^{+}(V_{j})で,s_{i} |_{V_{i} \cap V_{j}} =s_{j} |_{V_{i} \cap V_{j}} であるとするとき, s|_{V_{i}} = s_{i}となる s\in \mathcal{F}^{+}を見つけたい.このような元は,以下のように直接構成できる.
   s_{i}(p) (p \in V_{i} \setminus V_{j} )
s(p) = s_{i} |_{V_{i} \cap V_{j}} (p) (=s_{j} |_{V_{i} \cap V_{j}} (p) )  (p \in V_{i} \cap V_{j})
   s_{j}(p) (p \in V_{j} \setminus V_{i} )

ここ見づらくて申し訳ないarrayが使えなかった.

以上で\mathcal{F}^{+}が層になることが分かった.
また自然な射は\theta :\mathcal{F} \to \mathcal{F}^{+}  : s\mapsto (t:p\mapsto s_{p})で与えられる.

可換図式を満たす\psi :\mathcal{F}^{+} \to \mathcal{G}の構成や,層化においてstalkが不変であることなどまで書こうと思ったが,もう書くのがしんどくなったのでここまでにしたいと思います.\psiの構成は\mathcal{G}が層であることを上手く使うとできます.
誰かの参考になれば幸いです.