ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

ホモロジー群の定義と具体的な計算について 前編

こんにちは. めちゃくちゃ久しぶりの更新になります.
近頃はなんだかんだ忙しくて、Twitterとかも見れないときが多くて悲しい. 先日終わった光古戦場では戦貨ガチャを回すのを忘れ、1度も戦貨ガチャを回すことなく終わってしまった;;

ところで、今日のテーマはホモロジー群についてです. 先日中学生の教科書を眺めていると、オイラーの多面体定理を見つけました. オイラーの多面体定理は、オイラー標数という位相不変な値があるのですが、それが凸多面体の時において2となるという主張です. ということで今日はホモロジー群や、オイラー標数、その具体的な計算について見ていきたいと思う. 厳密に書くと長々としたものになるので、自己満足のブログらしく端折りながらやっていきたいと思う.

単体と複体について

まず初めに、十分大きな自然数Nをとり、考察する図形は\mathbb{R}^Nの部分集合であると考える.

定義1 \mathbb{R}^Nn+1個の点a_0,a_1,...,a_nが一般の位置にあるとは、n個のベクトル\vec{a_0 a_i}(i=1,2,...,n)が線形独立になることである.

定義2(単体) 一般の位置にあるn+1個の点a_0,a_1,...,a_nをとり、 \lambda_0 +\lambda_1 +....+ \lambda_n =1,\lambda_i \geq 0となるn+1個の実数λによって \lambda_0 a_0 +\lambda_1 a_1 + ... +\lambda_n a_nと表せる点全体の集合を|a_0 a_1 ... a_n |と書き、n次元単体という. また\sigma = |a_0 a_1 ... a_n |と表すこともある.
下の二つの図は1単体|a_0 a_1|と2単体|a_0 a_1 a_2|である. f:id:mist0ne:20210130183754p:plain
定義3(辺単体) n次元単体|a_0 a_1 ... a_n |の各頂点のうち、任意にq個を選ぶ. a_0,a_1,...,a_q (0 \leq q \leq n)はもちろん一般の位置にある. したがって、q単体\tau =|a_0 a_1 ... a_q |が定まる.これをq次元辺単体という.  これを\tau \prec \sigmaとかく.

定義4(複体) 有限個の単体からなる集合Kであって、以下の二つの条件を満たすとき、Kを複体という.
(i) \sigma \in Kならば、\sigmaの任意の辺単体\tauについて、\tau \in Kとなる.
(ii) \sigma ,\tauKの二つの単体とし、\sigma \cap \tau ≠ \emptysetとすると、\sigma \cap \tau\sigmaの辺単体であり、かつ\tauの辺単体でもある.

ホモロジー群について

n単体 \sigma = |a_0 a_1 ... a_n |に対して、そのn+1個の頂点a_0,a_1,...,a_nを並べ替えた列[Tex:(a{i_0},a{i_1},...,a{i_n})]全体を考える, この置換の符号が等しいときに~と定めると、~は同値関係となる.
この同値類のことを\sigmaの向きという. この同値類を\prec |a_0 a_1 ... a_n |\succ とかく.
ある奇置換による同値類<[Tex:\prec |a
{i_0},a{i_1},...,a{i_n}| \succ ]と< \prec |a_0 a_1 ... a_n | \succ を用いて、[Tex:\prec |a{i_0},a{i_1},...,a_{i_n}| \succ]  = -  \prec|a_0 a_1 ... a_n | \succとし、\prec |a_0 a_1 ... a_n | \succと逆の向きを持つとする.*1

Kをm次元複体とし、\sigma_0,\sigma_1,...,\sigma_rを複体Kのq単体とする. それぞれに任意に向きを指定することにより、向きのついたq単体ができる. 形式的な和として
 c= \gamma_0 \prec\sigma_0 \succ + \gamma_1 \prec\sigma_1 \succ + ... + \gamma_r \prec \sigma_r \succ  (\gamma_i \in \mathbb{Z} , i=0,1,...,r)
全体を考える. これに適当に和を定めることで加群となる. この加群C_q (K)と書き、q次元鎖群という.

ここで、\partial_q :C_q (K) \rightarrow C_{q-1} (K)を以下で定める.
 \partial_q ( \prec \sigma \succ )= \partial_q ( \prec a_0,a_1,...,a_q \succ )
       = \sum  (-1)^{i}  \prec a_0,a_1,..., \hat{a_i} ,..., a_q  \succ
じつはこれは準同型になる. これを境界準同型という.

代数学の知識より、Ker( \partial_q)C_q (K)の部分加群であることがわかり、それをZ_q(K)と書く.
また Im ( \partial_{q+1} ) C_q (K)の部分加群であり、B_q(K)と書く.

Fact 1  \partial_{q-1} \circ \partial_q = 0

このことから次の事実が自ずとわかる.
Fact 2  Im( \partial_{q+1} ) \subset Ker( \partial_q)

以上の事実から商加群Z_q (K) / B_q (K)が定義できる.
定義5 (ホモロジー群) H_q (K) := Z_q (K) / B_q (K) をq次元ホモロジー群という.

以上でホモロジー群が適当ではあるが定義できた. 細かいところについては各自適当なホモロジーの教科書を読んでいただきたい.
次回の後編では、オイラー標数を定義したり、定義に従ってn単体のホモロジー群を求めたり、マイヤービートリス完全系列を紹介したうえでそれを用いてトーラスのホモロジー群を求めたいと思う.

最後になったが、このブログを書きながら、なんで教科書を読めば体系的に上手く書かれている内容を端折って拙い日本語でまとめてるのだろうと虚無感に襲われた。しかし、本気で数学をやろうとしている人間は教科書を読もうとすると思うが、 ふと数学に興味がわいた人に数学書を読みこなせというのは酷であろう.ゆるく読んで、なんかやってなんなとなるくらいのブログが自分の目標なのかもしれない。と書きながら思っていた.

*1:ところどころTexのミスがあるが、今日は疲れたので後日やる気が出たときに修正する