ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

数学を感覚的に理解する的な話

こんにちは、久々に数学の話をしたいと思います。

今回は群論についての話で、その中でも特にアーベル化の普遍性を感覚的に理解することをします。
まず言葉の説明をします。群とは、簡単に言えば掛け算のみができる集合のことと理解していただければよいです。厳密に書くならば以下を満たす集合のことです。

集合Gが群であるとは、演算G\times G \rightarrow G ;(a,b)\mapsto abが存在し、以下の3つを満たすことである。特に4番目を満たすときアーベル群(可換群)という。
(1)\forall a,b,c\in G,(ab)c=a(bc)結合則
(2)\exists e\in G s.t. \forall a\in G ,ae=ea=a単位元の存在)
(3)\forall a\in G ,\exists b\in G s.t. ab=ba=e(逆元の存在)
(4)\forall a,b \in G ,ab=ba

アーベル化について話すために準同型も定義しておく。
G,Hを群とする。写像\phi :G\rightarrow Hが群準同型であるとは、以下を満たすことをいう。
\forall a,b \in G ,  \phi (ab)=\phi (a)\phi(b)

実は、可換でない群Gに対して、Gに最も近いアーベル群を得る操作が存在する。これをアーベル化というのだが、これは以下のように定義される。ここでは厳密に定義を述べるが、平たい言葉で言うならば、可換ではない元は潰してしまって1にしてしまうという操作である。
Gを群とする。x,y\in Gに対し、その交換子を [x,y ] =xyx^{-1}y^{-1}と定義する。このような元たちが生成するGの部分群をGの交換子群といい、[G,G] とかく。
ここで、Gのアーベル化を、G/[G,G]と定義する。

実は、アーベル化にはある種の普遍性が存在する。それは以下のようなものである。

Gを群、Hをアーベル群とし、\phi :G\rightarrow Hを群準同型とする。この時、この準同型は\pi :G\rightarrow G/[G,G]と\psi :G/[G,G ]\rightarrow Hを経由して分解する。すなわち、\phi = \psi \circ \piとなる\psiが存在する。

この普遍性を感覚的に理解するには、簡単にわかる以下の事実が重要である。
Gを群としHをアーベル群とし、\phi :G\rightarrow Hを準同型とする。このとき次が成り立つ。
\forall a,b\in G , \phi (ab) = \phi (a)\phi(b) =\phi (b)\phi (a)=\phi(ba)

さて、これを踏まえた上で普遍性を考察しよう。上の事実から、可換な元は可換な元に送られる。しかし、可換でない元はどこに送られるであろうか。答えは簡単で、単位元e\in Hに送る以外送れる場所がない。したがって、このような射はアーベル化G/[G,G]を経由する。