ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

数学を勉強することで見えてくる式の意味について

はい、こんにちは.
近頃は、自堕落な生活を送っていて非常にまずいと思います.これは持論ですが、部屋の綺麗さと自分自身のモチベーションは比例関係にあると思います.

さて、今日のタイトルはざっくりいうと「数式に意味を与えてみよう」ということです.
説明するよりも見せたほうが早いと思うのでさっそく見ていきましょう.

相加平均、相乗平均の関係式

任意の正の実数a,bに対して成り立つ以下の式を相加平均、相乗平均の関係式と言う.
\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}
この不等式の証明の方法は複数とおりありますが、今回は複数の証明を見ていくことで数式に意味を与えてみたいと思います.*1

直線の長さの関係と見る

以下の図を見てほしい.
半径\frac{a+b}{2}の円の中心を通る線分AB上に、ある点Dを取る.線分ABと垂直な直線が円周と交わる一方の点を点Cと定める.
中学生程度の数学の知識で、\triangle{ADC} \sim \triangle{CDB}が分かる.
相似であるため、AD:DC=CD:DBである.この式から
CD = \sqrt{ab}が分かる. さて線分CDの長さはどこまで長く取れるだろうか.ご想像のとおり、線分CDは半径と一致するときに長さが最大となる.
したがって、\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}となる.f:id:mist0ne:20191130223015p:plain

以上の考察から、この相加平均、相乗平均の関係式は長さの関係を表している式だとわかった.これからは皆さんもこの式をみれば長さの式だ!となるはずだ.というよりなってください.

面積の関係とみる

以下の図を見てほしい.
一辺の長さがa+bの正方形である.この正方形と、その中にある4つの四角形の面積について考察してみよう.そのために、まずは元の式\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}を変形する.
両辺\frac{a+b}{2}で割ることにより、 1 \geq \sqrt{\frac{4ab}{(a+b)^{2}}}となる.この不等式を証明できれば元の式も証明できたことになる.
さて、下の図では、4つの長方形はそれぞれ面積abであり、正方形の面積は(a+b)^{2}である.また4つの長方形は正方形に含まれているので
(a+b)^{2} \geq 4abが成立する.両辺(a+b)^{2}で割り、√をつけることで 1 \geq \sqrt{\frac{4ab}{(a+b)^{2}}}が示される.f:id:mist0ne:20191130224747p:plain

これで皆さんも、この式を見れば面積比較の式だ!となるはずだ.

実数の性質と見る

任意の実数は二乗すると必ず正である.実はこの式はこの事実から導かれていると考えることもできる.*2
正の実数a,bに対して、(\sqrt{a} - \sqrt{b})^{2}を考えてみよう.二乗しているため、(\sqrt{a} - \sqrt{b})^{2} \geq 0である.
ところで、(\sqrt{a} - \sqrt{b})^{2} = a+b-2\sqrt{ab}であることより、式を整理して\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}を得る.

この証明をみると、正の実数でこの式が成り立つのは当たり前に感じてきましたよね?この根拠を元に、当たり前の感覚を育むのが大切です.自明と言う言葉は数学を勉強する段階では使わないほうが良いでしょう.

ベクトルの関係と見る

まず、\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}を両辺2倍して、 (a+b) \geq 2\sqrt{ab}を示すのを目標としよう.
ベクトルの内積について復習しましょう.
\vec{a} = (a_1,a_2) , \vec{b} = (b_1,b_2)とする.ベクトルの内積\vec{a} \cdot \vec{b}とは、 | \vec{a} |  | \vec{b} | \cos{θ}のことである.ただし、θは二つのベクトルの成す角度である.
また\mathbb{R}^{n}において内積\vec{a} \cdot \vec{b}は、\vec{a} \cdot \vec{b} = a_1 b_1 + a_2 b_2ともあらわせる.

では相加平均、相乗平均の関係式をしめそう. \vec{a} = (\sqrt{a},\sqrt{b}) , \vec{b} = (1,1)としよう.
内積と絶対値の関係より、\sqrt{1+1} \sqrt{a+b} \geq \sqrt{a} + \sqrt{b}となる.両辺2乗して整理することで (a+b) \geq 2\sqrt{ab}を得る.

まあ少々無理がある.というのも別テーマを使って示しているのもあるからだ.詳しくはCauchy-Schwarzの不等式についてあつかった記事を見てもらいたい.

alea.hatenablog.jp

凸関数の特徴と見る

凸関数をどういう定義とするかで迷ってしまうところではあるが、ここでは二回微分が負の関数を上に凸、正の関数を下に凸ということにする.
上に凸な関数において、Jensenの不等式と言うものが成立する.
区間Iで定義された関数f(x)と、\sum p_i =1を満たすp_i \in [0,1] (i = 1,2,\cdots,n)、x_i \in I (i = 1,2,\cdots,n)に対して、\sum p_i f(x_i) \leq f(\sum p_i x_i)となる.
これをJensenの不等式という.
f(x) = \log{x}とする.このとき、f(x)は上に凸な正の実数で定義されている関数であることに注意する.
Jensenの不等式より、p_1 ,P_2 = \frac{1}{2}として、\frac{\log{a}+\log{b}}{2} \leq \log{\frac{a+b}{2}}
左辺は\log{\sqrt{ab}}とできる.両辺\logをはずすことにより、\sqrt{ab} \leq \frac{a+b}{2}が示される.

まとめ

数学をやればやるほど数式の見え方が変わってくるし多様になってくる.
数学が好きな人間というものは、多様な視点や意味の奥深さに捕われてしまった人間なのかもしれない.

*1:自分がパットでてくるので10個くらい

*2:高校の教科書ではこの方法でこの式を示しているが僕は無機的な証明で嫌いです