ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

大学の入試問題の一般化~1999年阪大理系~

こんにちは,最近グラブルのやる気が戻ってきました.たまに真剣にやると面白いゲームですよね. Apexをやりながらフルオート回しとかが一番いいですね.

さて,本題に入りましょう. 先日,高校生に数学を教えていたときに以下の問題がありました.
f:id:mist0ne:20210321221730j:plain これは大阪大学の1999年度理系前期の問題なのですが,この問題を解くためには背理法で簡単に示せます.
これを少し一般化してみましょう.

「nを3以上の自然数とし、n≠4とする. この時,すべての頂点が有理数点である正n角形は存在しない」

ところで,n≠4としたのはすぐに反例が見つかります. 例えば,各辺の長さが1の正方形を考えればよいです.

それでは示していきます. 背理法を用います. \mathbb{R}^2平面上の正n角形のすべての頂点が有理数点であると仮定しましょう. また,このとき正n角形の重心も有理数点であるので,平行移動することにより重心を原点になるようにできます. したがってこの先の議論では元から重心が原点である正n角形として議論しても問題ありません.
また,正多角形の1つの頂点がx軸正の部分にあると仮定しても大丈夫です. イメージとしては以下のようなものです. f:id:mist0ne:20210321223631p:plain
さて,\mathbb{R}^2\mathbb{C}と同一視して考えます. 正n角形ですので,各頂点をe^{\frac{2\pi i}{n}}倍すると,元の位置に戻ってきます.

ここで,示したいことを言い換えておきましょう. \mathbb{C}上の有理数点は\mathbb{Q}(i)と表せます.*1 また,もし全ての頂点が有理数点であれば、\mathbb{Q}( \zeta) (ただし,\zeta = e^{\frac{2\pi i}{n}})  \subset \mathbb{Q}(i)となるはずです.

ここで,体の拡大次数に注目してみましょう.
[\mathbb{Q}(i) : \mathbb{Q} ]=2は明らかでしょう. また体論の結果より以下がわかります.
L,M,Kを体とし,L/M/K であるとする. このとき以下が成り立つ.
[ L:K ] = [L:M ][ M:K]


これを用いて,[ \mathbb{Q}(i) : \mathbb{Q} ] = [ \mathbb{Q}(i) : \mathbb{Q}( \zeta) ] [  \mathbb{Q}( \zeta) : \mathbb{Q} ] =2

ここで,[  \mathbb{Q}( \zeta) : \mathbb{Q} ] = n以下の互いに素な自然数の数. であるので,n=2 , 4のみとなります.
したがって,四角形以外で,すべての頂点が有理数点な正多角形は存在しません.

*1:\mathbb{Q}(i)={a+bi | a,b \in \mathbb{Q}, i = \sqrt{-1}  }