無理数なんですか?と言われて説明できますか???
はい、こんにちは.
今日は表題通りのことについて語りたいと思います.
みなさんは「無理数って何?」と尋ねられたらなんと答えるでしょうか.おそらく、高校程度の数学を覚えてる方は「実数の中で、有理数ではないもの」と答えることでしょう.実際これは高校の教科書での説明です.
それでは、別の質問をして見ましょう.「実数ってなんでしょうか?」.これを尋ねられると多くの方は「有理数と無理数を合わせたもの」と答えることでしょう.
お分かりのとおり、循環論法になっているのです.
そもそも実数(以下と書きます.)ってやばい集合ってことをご存知でしょうか?やばい集合である例を以下で述べてみましょう.
みなさんは、 (0から1までの実数全部)と全体だとどちらのほうが入っている数の個数が多いと思いますか?もちろん、 なので、の方が多くの数を含んでいるように思いますが、とすると、これは全単射です.これより、とでは、中に入っている数の個数が等しいことが分かります.
相当ヤバイことが起こっていることを理解できましたでしょうか?ちなみに、もっとやばいことを言うと、とにも全単射が存在します(すなわち、中に入っている数の個数が等しい.}*1
以上でが相当ヤバイ性質を持っていることがざっくりわかりました.それでは、本題に戻りましょう.無理数ってなに?と聞かれて答えられない理由は、無理数を明確に定義していないからです.高校まででは感覚で理解してきたからです.
無理数とは、有理数のみからなる数列(有理数列)の極限として構成されます.ちなみに、ここでは相当非自明でヤバイ操作が行われるため、上の例であげたような変なことが起こってしまうのです.
ちなみに、ディリクレ関数と言うものがあります.xが有理数のときに1の値をとり、無理数のときに0の値を取る関数です.この関数を積分するとその値は0になります.これが示しているのは、無理数は実数よりも圧倒的に数が多いということです.
構成の非自明さゆえにいろいろ不思議なことが起こるのです.
ところで、循環論法で思い出したのですが、という、理系高校生なら必ず知っている公式があります.もちろん証明は高校の教科書に載っているのですが、実はこれも循環論法となっています.どこで循環論法になっているのかは各自考えてみてください.ちなみに、それを回避するためにも、はと定義すると見通しが良いです.
僕は高校生のころ、が実際に存在している数なのか疑問に思ったことがあります.今では自分なりの答えは出せました.みなさんはは存在すると思いますか?
*1:たとえば、平面と数直線の点の個数が等しいと言うことです.