ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

1+1=2を証明してよ!!!

家庭教師をしていると、生徒から「詳しく数学やっていたら1+1=2を証明できいるんでしょ?」と聞かれることがあるので、このことについて語ろうと思う.

はじめに

この話をしていく前に、数学がいったいどのようなものに根ざしいているのかを明らかにする必要がある.そこで物理学と比較しながら考えてみることにしよう.

まず、物理学はいったいどこに根ざしている学問であろうか?今まで学んだ物理学を振り返ってみよう.例えば、高校で学ぶ物理学の中で、大部分を占める「力学」を思い出していただきたい.力学を学ぶことにより、我々は物体の運動を数式で表現することができるようになった.
そう、物理学のモチベーションは自然現象を数式で記述することにある.
物理学は自然に根付いている学問なのである.よって、自然現象を正しく記述している式は物理的に正しいということになる.なぜその式になるのかは不問である.神か何かか決めたのであろう.

一方、数学は何に基づいているのであろうか.
答えから先に述べると、数学は公理に基づいているのである.公理とは議論の出発点である.詳しく述べると、証明をしなくてもこれは成り立っているということにしよう!とする仮定のことである.数学の議論は、どれだけ高尚な議論になろうとも必ず公理に基づいているのである.よって、数学の正しさは公理に基づいているかどうかでわかるのである.

以上の話をまとめると、物理学では論理は自然から始まり、数学の論理は公理から始まっているのだ.

自然数を構成して、和の演算を導入しよう!

自然数を構成するって?となっている方もおられると思うが、自然数も数学的には公理から構成することができるのだ.
ここでPeanoの公理について述べる.

集合NPeanoの公理を満たすとは、Nの元0単射σ:N→Nが存在して、次の二つの条件を満たすことである.
(1)0\notin σ(N).
(2)Nの任意の部分集合Sに対して、次が成り立つ.

0\in S,σ(S)\subseteq S\Rightarrow S=N.


めんどくさい議論を全てすっ飛ばすと、実はこのPeanoの公理を満たす集合は自然数全体の集合\mathbb{N}のみであることが確かめられる.
また、上で構成した\mathbb{N}に適当に和を定義することにより、我々が慣れ親しんでいる諸法則(例えばa+b=b+a)などが確かめられる.
以上のような議論を経て、1+1=2が示される.

1+1=2の証明って面白い?

ざっくりとしたアウトラインだけであるが、上で1+1=2を示した.皆さんはこれを面白いと思うだろうか?証明を見ていただければわかる通り、当たり前に公理に戻って議論しただけなのである.個人的には1+1=2の証明など全く面白くもないし、そもそも、1+1=2など我々の数学的感覚として公理化されたものである.
僕は数学は、自分の中での自明を増やしていく学問だと思っている.数学は証明を理解してしまえばたいてい当たり前だと思うようになるのだ.皆が当たり前に思っていることを示すのは個人的には無意味だとも思う.
以前、Riemann–Rochの定理について考えていた時に、数学科の先輩にこの定理について聞いたら、「この定理の証明は僕の中では終わってる.」と言われてしまった.今でもキザな発言だとも思うが、それもそうだろうなとも思う.当たり前になってしまったことに面白みはないのだ.
ところで、数学をやっている人間は「わからない方が面白い」とよくいう.この発言も、自分にとってまだ当たり前ではない数学の世界に思いを馳せてるからであろう.

まとめ

数学楽しい!