ふたごはたいてい区別がつかない

小学2年生の頃、好きな子をふたごの子と間違えた苦い思い出

数学を始めた理由 Cauchy-Shwarzの不等式

はい、こんにちは

皆さんは人生が変わった瞬間を感じたことはありますか?自分には幾度かそういったことがあったのですが、その中でも今、大学で数学を勉強することになった瞬間をご紹介したいと思います.

高校3年生の時は、僕は文学部志望でした.数学科に行こうなど微塵も考えたことはありませんでした.しかしある問題に出会ってしまったことで人生が変わってしまいました;;.
1995年東京大学理類数学大問1です
それは以下のような問題です.

全ての実数x,yに対し、
\sqrt{x}+\sqrt{y}\leq k\sqrt{2x+y}
が成り立つような実数kの最小値を求めよ.

この問題の解き方は複数存在します.例えば、t=\frac{x}{y} とすれば、t>0であり、一変数化できます.しかし、この問題にはエレガントな解き方があります。僕を数学科へ引き込んだ先生は、この問題を解説する時にこう言いました.「これはベクトルに見えるね.」と

それがどういうことなのか解説しましょう.
\vec{a} =( \sqrt{2x},  \sqrt{y})と置き、\vec{b}=(\sqrt{\frac{1}{2}},1)と置くと、\vec{a} \cdot \vec{b}= \sqrt{x} + \sqrt{y} である.
ここで、\vec{a} \cdot \vec{b}= |\vec{a}||\vec{b} | \cosθであるが、-1 \leq \cosθ \leq 1より \vec{a} \cdot \vec{b} \leq |\vec{a}| |\vec{b}|である.
(これを「Cauchy-Shwarzの不等式」という)
以上より、\vec{a} \cdot \vec{b}=\sqrt{x}+\sqrt{y}\leq\frac{\sqrt{6}}{2}\sqrt{2x+y}=|\vec{a}||\vec{b}|
よってkの最大値は\frac{\sqrt{6}}{2}となります.
(ここで実際に、\frac{\sqrt{6}}{2}をとるx,yが存在することを言わなければいけません.しかし等号成立条件が\vec{a}\parallel\vec{b}より存在は簡単に言えます.)

昔の僕は、この不等式とこの問題のエレガントな解き方に感銘を受け、数学を志ました.この問題とこの解法、いかがでしたでしょうか?それでは最後に、このCauchy-Shwarzの不等式を一般のn変数に拡張したものを証明して終えたいと思います.

xに関する2次方程式 \sum_{i=1}^n (a_ix-b_i)^{2}  \geq 0 について考える.
ここで\sumの線型性より、


\sum_{i=1}^n (a_ix-b_i)^{2}=(\sum_{i=1}^n a_i^{2})x^{2}-2(\sum_{i=1}^n a_ib_i)x+(\sum_{i=1}^n b_i^{2})

である.また、この方程式の判別式D\leq0より

(\sum_{i=1}^n a_ib_i)^{2} \leq (\sum_{i=1}^n a_i^{2}) (\sum_{i=1}^n b_i^{2})

を得る.